伊東監督は名策士か?!

【伊東監督は、もしかして相当に監督業に才能があるのか?】


今回のプレーオフを見てて思うことがある。それは伊東監督の頭の中。
それを想像してるのは自分ですが、もしかすると彼は、ものすごい人物ではないのか。
(今回の話はかなり一方的なモノの見方・考え方です。くれぐれも本気にしないように。しかもクソ長いので時間のある方のみどうぞ。)


ソフトバンクとのプレーオフ初戦、松坂で勝負して勝てたことは、かなり運の要素が強い試合だったと思う。松坂はもちろん日本を代表するエースピッチャーであるが、相手の斉藤和巳は今年投手4冠のズバ抜けた安定感を持つ投手。勝敗の計算は出来るはずもないだろう。結局、1-0という僅差で勝利。自分には、勝利以上の何かを西武が得て、その他の大勢にも何らかの影響を与えたような気がした。


そして2戦目。先発はルーキー松永。シーズン後半戦は涌井よりも成績も内容もよかった投手だ。試合は4回に松永が突如崩れ、さらに勝ちパターンに登板する西武リリーフ陣も打たれて完敗。

しかし、これも伊東監督の読みどおりか・・・


1戦目・松坂で勝った時点で、あとは思い通りの流れかもしれない。とにかく1戦目すら勝利できれば、あとは「日本一を獲る!」という流れに、自然になるような気がする。


例えば、

今日の2戦目を松永で勝った場合・・・これは相当な勢いがつくだろう。文字通り「ラッキー」となる。来年以降の成長にも大きな好影響を与えたはず。また、ルーキー投手が好投するとなれば、主力選手たちが「おれも負けてられるか」と思わずにはいられず、「チーム全体の士気の高まり」 と 「なぜか試合に勝ってしまう勢い&運」 を手にすることが出来る。特に短期決戦の場合は、この「勢い&運」という要素が非常に大きいのだ。


2戦目を松永で負けた場合・・・これはしょうがないし、伊東監督もこちらを狙っていたかもしれない。今年の西武ライオンズは、これといって大きな出来事もなかった。なんとなく強くて、レギュラーシーズン1位を惜しくも逃したものの、堂々の2位。この「なんとなく強い」というのが、本物の強さのような気がするが、プレーオフというしくみが始まった以上、何か絶対的な要素を持っているほうが、優勝確率が急上昇するのは間違いない。特にプレーオフはその要素が必要だ。


この要素が、実は西武にはない。“なんとなく”では、気持ちの絞り具合や、極限の集中力から生まれる実力以上の力を発揮できない。


人間は通常時、持っている能力の7割しか発揮していない。精一杯やった、としてもこの程度なのである。これには心理的な部分のバリアみたいなものが邪魔をするからであり、心理的な面で何か異常を感じた時のように通常時でなくなると、このバリアを取り除くことが出来るようになる。これが俗に言う“実力以上の力を発揮したとき”である。

例えば、火事の時に、普段腰を90度近くまで曲げているおばあさんが、たくさんの荷物を背負って走って家から出てくる場合などは、まさにその典型。普段では信じられない力を発揮する。


短期決戦での勝利を確実なものにする場合に必要なのは、まさにこの力。ただその力を発揮したばあいでも野球というスポーツの場合、確実な勝利には届かない。ボールがよく見えたとしても、バットの真芯に当たったとしても、たまたま野手がいる場合にはアウトになるし、ホームラン性の当たりでもポールから少しでもズレるとファールになる。


野村監督がよくいう「野球は確率」という言葉にもわかるように、力を発揮すれば確実に勝利できるわけではない。あたりまえの話だが。しかし、勝利への確率は大きく上がる。勝負そのものは、勝つか負けるかという2択しかないけれども、指揮官は少しでもこの確率を上げる努力をしなければならないし、それが仕事である。これは当たり前の話。

さて、わざと3戦目まで持ち込ませたのではないかという感じが否めないが、その伊東監督の考えは、いくつものメリットがあり、これはまさに勝利への確率(今回は日本一への確率)をあげるものだ。


おそらくソフトバンクに2連勝しただけでは、日ハムに負ける。彼らには新庄がいる。新庄という相当強い求心力の持ち主がいて、さらに彼は今季限りでの引退を表明している。ただ、本当に今年の日ハムが強いというわけではない。強力な要素があるかどうかの問題。「うるぐす」での野村監督の話を参考にしたい。


野村監督の話
日ハムはそんなに強かったという印象はない。強いて言えば、チームがまとまっていたこと。


稲葉がよく打ったとか、ダルビッシュがよかったとか、そういう要素は付加的なものでしかない。例年とそれほど変わったわけでもない。例年と大きく違うのは、単純に「新庄の引退」という要素だけ。ただ、この強力な要素によってチームがまとまり、後半戦は驚異的な成績をあげることが出来たわけだ。


しかも、レギュラーシーズン1位のため、すでに1勝のアドバンテージがある。「新庄の引退表明」 と 「1勝のアドバンテージ」 という要素は、プレーオフ第2ステージ勝利の確率を強力に押し上げており、特に強い要素がない西武が、ソフトバンクに2連勝したくらいでは、おそらく勝てないだろうと思うのはこのためである。


だからこその3戦目である。

ソフトバンクとのプレーオフ3戦目。西武はただ勝つだけでなく、何か強い要素を得なければならない。


おそらく試合には勝つ。いくら王監督の問題があるとはいえ、もはやそれほどの力をもっていない要素となったし、なによりソフトバンクにとって痛かったのは、「ヒーローインタビューで松中が泣いてしまった」こと。泣くという行為は、自己満足とファンへの同情しか生まない。泣くことが勝利への要素にはなりづらいことは、すでにわかっている。2年前の日本シリーズを思い出して欲しい。落合監督が5戦目に勝利して思わず泣いてしまったことを。あれは明らかに未熟な行為だった。落合監督は就任1年目で青かったのだ。あのシーンを見ていた落合夫人は「もうダメだな・・・」と思ったらしいが、それ以後見事に2連敗して中日は日本一になれず。


なのに松中は泣いた。きっと抑えきれなかったのだと思うが、あの瞬間、西武の勝利は決まった。これは単純に、我慢できなかった松中が悪い。自分から勝利を遠ざけてしまったのだから。


日ハムに勝つための要素として、ボクが希望するのは、おそらく現われる可能性が一番高い要素。つまりは 「ヒーローなりラッキーボーイの出現」。明日の試合で猛打賞なり、凄まじいファインプレーなりがほしい。特に野手にほしいと願う。一人でも打撃陣にそういう選手がいれば、知らぬ間にチーム全体に波及する。波及すると、それはチームの勢いとなり、勝利への可能性を急激に上昇させる。つまり、野村監督が言っていたように、「実力だけでは1番になれない」のだ。「正体のわからんものが要る」とも言っていたが、それは「何らかの要素」が元にあるのは間違いなく、それをうまく大きく成長出来たときに、勝利への確率はほぼMAXとなるのだ。


その元を、この3戦目でつくらねばならない。


幸い、ソフトバンクは2戦目で打ちまくった。いや、打ちすぎたというところか。伊東監督は「勢いづかせてしまった」とコメントしていたが、そのコメントは彼の真意ではないだろう。むしろ、「余裕を持って負けた」という野村監督の指摘が正しいと思う。もしかして石井貴にはわざと松中に打ちやすい球を投げさせたのかも・・・と勘ぐってしまうほど、打たれた後の石井貴の表情のスッキリ具合に驚いたし、そう感じさせた。だいたい、打ちすぎると次の日は打てないというのがセオリーであり、この点からしても明日西武の勝利の確率は高い。


さらにボクが思うには、3戦目をやることによって、球団にも選手にも大きなメリットがある。「収入の面」での話だ。平日ナイターには空席が目立つインボイス西武ドームだが、プレーオフ、日本シリーズ、交流戦での阪神戦・巨人戦など、何か意味のある試合では、駐車場が民間駐車場の一部しか空きがないほど、来場者が多く詰め掛ける。テレビで見ていた様子からしても、今日の試合は球場が珍しくいっぱいになっていた。この収益面での貢献を見逃すわけがないだろう。しかもプレーオフのテレビ放映権料は莫大である。価値があると判断したから、民放が4時間くらい枠をとり、生中継で、かつ充実した解説陣をもって放送しているのである。今年はさすがに下がっているが、数年前まで巨人戦は1試合1億円のいう収入を球団にもたらしていたわけで、そのチャンスをみすみす失うことはしないだろう。こんな1億以上のお金が目の前に転がっているのに素通りする人間などいない。それはスポーツ選手でも同じ。特にプロである以上、収入には人一倍のこだわりを持っているはずで、それは選手にとっても監督をはじめとしたスタッフ陣にとっても当然の選択といえる。

こういった可能性を見越して、あえて3戦目まで勝負を挑もうとしている伊東監督は、かなりの策士である。現役中に何度も優勝しただけでなく、広岡監督や森監督といった名将のもとでチームの司令塔として成長してきたことが大きいだろう。彼はリード面で天才的な能力を見せつけたが、つまりはシナリオというか、流れを読み、さらに流れを自らつくっていくことにおいて天才なのだろうと思う。試合に負けた日は、なかなか眠れないことがあると本人は話していたが、おそらく頭の中で様々なシーンを思い出し、一人一人の選手の状況を考え、そこから今後の展開をつくっているのだろう。つまりはシナリオを描いているのである。状況的には、締切に追われて必死に作品を書いている作家と同じだ。そのため、彼は試合に負けた日、口癖のように「仕方がない。明日からまた精一杯やります」という。先を描くことに必死になっている彼にとって、すでに終わった試合に興味はないのだろう。この点は非常に興味がある点だ。


日産自動車の救世主となったカルロス・ゴーンが、以前、将来を予測することについて話していたことがある。彼はいったい、どのように将来を予測しているのか?非常に興味があったボクは、彼の答えを聞いて驚いてしまった。想像していた答えとは大きくかけ離れていたからだ。

彼の将来を予測する方法とは、「自分で将来を作ってしまえばいい」 ということだった。これによって、自分の思ったとおりの未来を叶えることが出来るわけであり、最強になろうと思えばなれてしまう。その過程のなかに、今、伊東監督はいる。このままつくることを繰り返していけば、恐ろしいほどの名将となることは間違いない。


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